State counselor(アウンサンスーチー国家最高顧問)と回復者が直接対話する世紀の瞬間の証人となった話。
会場の全員が起立し、緊張が走った。
黒服の無表情なSPが入場したと思うと、
鮮やかなピンク色のシャツと茶色のロンジー姿で、白いユリの花の髪飾りをしたその人が現れた。
ただならぬオーラを纏う人とはこういう人のことを言うのだろう。
今まで何人もの各国の元首にお会いする機会があったのだが、その方々とは一線を画していた。
ハンセン病の会議に国家最高顧問が出席することは考えられないそうだが、何度もミャンマーに足を運び、在ミャンマー丸山日本大使、笹川会長、日本政府の尽力もあり、来ていただけることとなったのだ。
スピーチをされ、会場のミャンマーのハンセン病についての現状と取り組みのポスターセッションをご覧になった。
その時、笹川会長は回復者の方を直接合わせたいとおっしゃった。
必死に探したがちょうど、ティータイムとの事で、みなさん休憩されてお茶を飲まれていたのだ。
スーチー国家最高顧問の時間は限られている。
ちょうど昔からの知り合いでマンダレーの病院のMyat Thida先生がいらっしゃり、ティー休憩をしていない方を連れてきてくださった。
私は、「State counselor, please hear their voice. Their are persons affected by Leprosy」そう話すのが精一杯だった。
彼女は優しく頷き、彼らと話し始めてくれた。
ここにハンセン病回復者が国家の最高権力者と直接話す世紀の瞬間が実現したのだ。
回復者の皆さんは、いままでの苦しい経験、そして今の生活の話などその時間は15分にも及んだ。国家最高顧問は、滞在の時間を延長してくれた。
回復者の方々の強い心と経験は、彼女さえも動かしたのだ。
私は新たな歴史の1ページの証人となった。