インド大統領と合った時の裏話
少し遡るが、グローバル・アピールでインド大統領と面談した時のことを振り返りたい。
「グローバル・アピール2018」を1月30日、デリーから発表した。
このアピールはハンセン病の差別をなくすために世界中の政治や宗教指導者、それに世界医師会や看護師協会なども参加して毎年発表してきており、06年から開始して13回目。今年は、世界91カ国の障害者団体が加盟する障害者インターナショナル(DPI)との共同宣言として発信した。
その日の夕方、大統領と面談する機会をいただいた。
事前にゲートを指定され、車はそこで名前を伝え内部へ入っていく。
中庭のようなところが見えてきた。
兵隊が訓練を行っており、軍馬は走りながら火の輪をくぐったり車を飛び越えたりしている様子はここでしか見られないものであろう。
携帯電話などの電子機器は持ち込むことができず、厳重な身体検査の末やっとのこと、大統領府へ入ることを許された。
イギリス時代に立てられたものであろうか、石造りのどこまでも続く高い天井の廊下をこえて、絢爛豪華な部屋に通された。
壁や床は全て木目調で、豪華なシャンデリアと、ろうそく風の明かりが品がよい。
長いテーブルがあり、貴族が座るような椅子に着席して大統領を待つ間の時間がこれほど長く感じられたことはない。
本棚には、ブリタニカ百科事典がずらりと並び、インドの上流階級が未だにイギリス人の知識を頼りにしていることが伺われた。
程なくして大統領が現れた。
最下層のカーストから今の地位まで上り詰めた苦労人だが、上品なオーラをまとい穏やかな雰囲気であった。
笹川会長は今回インドに来た目的と、額縁に入ったグローバル・アピールの宣言文を手渡しした。それだけでなく、回復者団体であるAPALのナルサッパ会長も紹介できた。
私は近くでメモを取りながら、その歴史的事実の証人となった。
写真を撮ることが許されなかったので、これは大統領から入手したものである。
裏話がある。
実は私、大統領に会うことを想定していなかったのだ。
メンバーに入っていなかったが、建物の守衛が名前リストを使ってパスポートと名前を照合していくのだが、なぜか私だけスルー。
まさか、中に入れるとは思わなかった。
その時、くるぶしの見えるアンクルパンツを着用していたのだ。
この服装を見た他のメンバーは、「大統領に会う格好ではない」と「つまみ出されるのでは?」と心配されたが、そのままの服装で強行突破。
私は歴史上の大統領に会った人の中で、最もカジュアルな人間となった。